(DOMINX(ドミンクス) 葛利毛織さんの生地です。)
試作縫製の記事を書き続けている最中なのですが、新しい自社ブランドを立ち上げるに当たって、いろいろなことを進めております。
今回はランダムなのですが、生地選びについてお話していきます。
当社はもともと国内有数の紳士服メーカー様のスーツの組み合わせの下衣(かい)の部分、つまり、スラックス(トラウザーズ)の製造を長年やらせていただいております。
以前にもお話ししたのですが、多くの紳士服メーカーは自社で上着(ジャケット)のみを
作られていて、スラックス(トラウザーズ)は当社のような専業のトラウザーズ(スラックス)工場に委託しています。
よって、いろいろなメーカーさんが採用されているいろいろな生地を目にして、触れる機会が多いのですが、その中で日本製ならばまずこの生地を使ってみたいと思う生地がありました。
それが今回採用を決めた葛利毛織(くずりけおり)さんの生地でした。
もちろん、採用するにあたり、いくつか別の生地メーカーさんや生地問屋さんにもお話を聞いたり、生地の展示会などにも足を運んでみて、いいなと思う生地にもたくさん出会いました。
(生地の問屋街です。何軒か生地問屋さんを訪問しました。)
(このような生地の展示会にも行ったりしてます。)
しかしながら、実際に葛利毛織(くずりけおり)さんを訪問し、社長さんや専務さんともお話をさせていただき、生地の製造工程なども見学させていただく中で、
あらためて日本人のモノづくりの素晴らしさを体感するとともに、ますますその生地の風合いが好きになりました。
特に生地選びには力を入れたい、妥協したくないという想いが強かったのですが、
やっぱり間違いない、まずは葛利毛織さんの生地を使わせてもらおうと決めました。
自信を持っておすすめできます!
ここであらためて、葛利毛織さんについてお話をさせていただきます。
葛利毛織さんは創業1912年、毛織物の産地尾州(びしゅう)で100年以上、上質な生地を作り続けてきた生地メーカーです。
(後姿は社長さんです。工場を案内していただいている時の写真なのですが、社長さん、こんな写真しか撮ってなかったです。すみません。)
DOMINX(ドミンクス)とい名前で知られる生地ブランドですが、一番の特色は日本にもう数台しか残っていないションヘル織機を使用して生地づくりをおこなっていることでしょう。
(こちらがションヘル織機です。ヴィンテージ感がすごいです!)
高速織機が主流の現代で今では希少品となった低速のションヘル織機を用いて、ゆっくりとぬめりのある、柔らかな風合いの生地を織り上げています。
高速織機の約半分の速さでしか織り上げられないということはもちろん、 織機に合わせて糸を巻き替える作業だけで2日、1反あたり約6000本の経糸(たていと)をすべて手作業で織機にセットしていく作業だけで3日とその前段階の準備だけでも5日間もかかってしまうという手間のかかりよう。
(こちらは糸を巻く作業の様子です。)
(このような木の棒に糸を巻きつけるのです。昔ながらの感じがします。)
(経糸(たていと)を手作業で織機にセットしている様子です。)
(スパナみたいな道具を使って、1本1本糸をセットしています。)
(あらためてションヘル織機です。)
(パーツひとつひとつの武骨さがたまらない。)
(この重厚感、ロボットヒーローに憧れてた子供ごころをくすぐります。)
でもその織機でしか生み出すことができない独特の風合いは、触っていただければ必ずご満足いただけるものと思います。
ちなみに織り上げられた直後の生地って、絨毯みたいにゴツゴツしてるんですね。
そちらの表面を焼いたり、洗ったり、いろいろな処理をすることで、
なめらかさやハリのある風合いが生まれてくるんです。
本当に勉強になりました。
ということで、次回はどんな生地を選ぶのかを書いていきたいと思います。
(試作縫製とどっちなんだ!とツッコミを受けそうですが、書ける方を書いてみたいと思います。すみません。)
ここに来てくれた方にいいことがありますように。
「CALSA長崎トラウザーズ」本サイト → https://calsa.jp