コロナ禍の中、外に出かける機会も少なくなってしまいました。
ということで、時間をたっぷり使って、じっくりトラウザーズのことでも考えようと
新たなトラウザーズ作りを始めることにしました。
まず、今回は今までCALSA(カルサ)で取り入れたことが無い仕様のトラウザーズを作ってみようということで、
以下のような仕様をベースに試作を作成することにしました。
1.帯無し仕様
2.前立て釦留め仕様
3.脇尾錠仕様
これらの仕様はお客様からのご依頼を受け、個別に対応させていただいたことのある仕様ではあったのですが、
今まで商品化はされていない仕様です。
でもせっかくの試作ですから、それぞれの仕様にもちょっとひねりを加えて、
今までとちょっと違うものをと試行錯誤しながら作ってみました。
こちらのトラウザーズ、何か違和感を感じませんでしょうか?
タイトルをご覧になっているので、お分かりの方もいらっしゃると思いますが、
こちらは「帯無し×持出し付き仕様」のトラウザーズとなります。
帯の代わりに身頃の上端から4cmのところに飾りステッチを入れているのですが、こちらが前立てステッチ上のところで
途切れており、そのまま「持出し」が突き出ています。
このステッチが途切れているのがミソです。このステッチを途切れさせるため、帯を付けないで「持出し」部分を作りだすために
何度も試作を繰り返しました。
そもそも「持出し」とは、通常、左前(上前)側の帯を延長して作るものです。
右前(下前)帯にかぶせて、釦または前カンで留める仕様となります。
つまり、本来、帯が無いと「持出し」部分をつくることができません。
では元々帯が無い、帯無し仕様にどうやって「持出し」を作るのか、
ここが一番頭を使ったところで、あまりお教えしたくはないのですが、身頃自体をその形に作るというのがヒントです。
(ちょっと縫製ができる方はこれでほぼ分かったと思いますが・・・。)
「持出し」はフロント部分を全体的にホールドする役割があります。
「持出し」が無い場合、特にウエスト部分がきつい時に左前(上前)端が引っ張られ浮き気味になるのですが、
それを防ぐ効果もあります。
また、フロント部分のアクセントとしても高級感を演出してくれます。
腰回りにやさしくフィットする「帯無し仕様」と腰回りをカチッとしっかり支えてくれる「帯付き仕様」、
どちらがいいのかは個人の好みによって分かれると思いますが、
今まで「帯無し仕様」だと「持出し」を付けることができないので、「帯付き仕様」にするという方も多かったと思います。
そういう意味ではなかなか革新的な仕様ではないかと自負しております。
フロント部分の全体写真はこちらです。
次回は前立て釦留め仕様についてお話していきます。
ここに来てくれた方にいいことがありますように。
本サイト → CALSA(カルサ)長崎トラウザーズ