(トラウザーズ(スラックス)の中にも天狗(てんぐ)が潜んでいるのです!)
 

今回は「天狗(てんぐ)」パーツのパーツ作りについて説明していきます。

こちらが天狗(てんぐ)パーツの表地になります。
 

 

まずは天狗(てんぐ)パーツの役割についてですが、

1つ目は、前身頃の下前(したまえ)(右側)にファスナーを取り付ける際の
土台となり、前立て(まえたて)と共に、
トラウザーズ(スラックス)の前開きができるようにする役割があります。


 
写真のように、前身頃と天狗(てんぐ)パーツでファスナーをサンドイッチして
挟み込み、ファスナーを安定させています。

もう一つは天狗の先端の方にボタンホールを空けて、
上前の前身頃の裏側(腰裏(こしうら)部分)とボタン留めすることにより、

下前(したまえ)の前身頃の下がりを防ぐ役割があります。

上の写真でもボタンホールボタンが確認できると思います。

まぁ、中には食べ過ぎて腰回りが苦しくなった時に、こっそり前カンを
外して、この天狗(てんぐ)の先端のボタン留めだけを掛けて
ゆとりを出して調整したりする方もいらっしゃいますけどね。
(自分だったりして)

こちらは基本性能さえ守れば、鼻付き天狗やカラス天狗、その他
いろいろな形状
で遊べるので、トラウザーズ(スラックス)の個性を
出しやすいパーツになります。

参考のため、鼻付き天狗カラス天狗の写真を載せておきます。

 
(鼻付き天狗)(飛び出した五角形が天狗の鼻みたいだから)

 

(カラス天狗)(カラスのくちばしみたいだから)

 

ちなみに当社のトラウザーズ(スラックス)の試作では、
こんな形状にしています。

 

 

天狗(てんぐ)上部の帯(おび)にゆるやかな傾斜をつけて、
下前(したまえ)側(右側)の前身頃(まえみごろ)が
後ろから覗くのを防ぐとともに、

ゆるやかなカーブを付けて、
品のある形状に仕上げました。

何パターンか作って、試行錯誤したのですが、
現時点ではこれが一番のお気に入りです。

 

次に「天狗(てんぐ)」パーツの作り方なのですが、

まず、前側の裁ち端にオーバーロックを掛けた表地の裏側に
前立て(まえたて)と同様に補強芯(接着芯)を貼りつけます。

こちらが補強芯(接着芯)と天狗(てんぐ)のパーツです。

上側が補強芯(接着芯)になります。
 


 

補強芯(接着芯)の裏面には糊のつぶつぶが付いています。
 

 
こちらをローラープレスにて接着します。
 

 
次に天狗裏(てんぐうら)と縫い付けます。

上側が天狗裏(てんぐうら)、下側が天狗(てんぐ)になります。
 

 
2つの生地を重ねて、白い点線のところを縫い合わせます。
 

 
表側にひっくり返したのち、アイロンで形を整えて完成です。
 

当社のトラウザーズ(スラックス)の試作品は天狗裏(てんぐうら)も
表地
なのでわかりづらいのですが、

こちらの写真を見てください。

 

 
こちらは通常の袋地バージョンの天狗(てんぐ)パーツを
天狗裏(てんぐうら)の方から見た写真なのですが、

よく見ると天狗裏(てんぐうら)の上端に黒いラインが見えませんでしょうか?

拡大した写真がこちらです。
 

 

これは天狗パーツの表地の生地になります。

トラウザーズ(スラックス)のフロント部分を開いて、
表側から天狗パーツを見た場合に、天狗裏(てんぐうら)が見えない様に

ひかえを取っているのです。

逆に、こちらは天狗(てんぐ)の表地側から見た写真なのですが、
 

 

下部のカーブのところで、天狗裏(てんぐうら)側の袋地が見えますでしょうか?

拡大すると確かに見えます。
 

 
これは裏側から見た時に天狗裏(てんぐうら)の下側のカーブで
天狗(てんぐ)の表地が見えないように
という意味合いがあります。

ちょっとしたことですが、こちらのアイロン処理をすることで、
見た目のスッキリ感が違ってきます。

細かいところの工夫がおわかりいただけたでしょうか?

次回は「シック」パーツについて説明していきます。

ここに来てくれた方にいいことがありますように。