(楽器のラッパに見えますか?)

 

試作縫製の第2回目として、今回はパーツ作りの工程について説明していきたいと思います。

以前の記事「そもそもトラウザーズ(スラックス)のパーツの名称がわからない?」
どのようなパーツがあるのかを説明したのですが、

そのパーツをそれぞれ縫い合わせたり、パーツを組み合わせて縫製、
アイロンしたりして、各パーツを作っていきます。

製作する主なパーツは以下の通りです。


◆ループ
◆帯(おび)
◆前ポケット(脇当て(わきあて)と前ポケットの袋地を使用)
◆前立て(まえたて)
◆天狗(てんぐ)と天狗鼻(てんぐはな)(天狗パーツと天狗裏の袋地を使用)
◆シック

 

今回はまず、ループ作りからです。


◆ループ作り

おさらいですが、ループとはベルト通しのことです。

この部分のパーツです。

この細長~い生地を、

このミシンで縫っていきます。

大きくして見ると、真ん中の部品の中に生地を通すようになっています。

ちょっと見えづらいので、単体で写してみるとこんな感じです。

この部品の名前は「ラッパ」と言います。
そう、なんとなく楽器の「ラッパ」の形に見えません?

この中に生地を通して、生地を内巻きに巻き込みながら、上の部分を
すくい縫いして仕上げてくれます。けっこう優れもののミシンなのです。

当社では「ヤマトミシン CM-370」というミシンを使用しています。

実際に縫っている様子です。

 

ちなみに今回の試作では採用しなかったのですが、こういうループミシンも
使用しています。

 

 

ミシンの名称は「カンサイスペシャル B-2000C」です。

「じゃばら縫いループ」という仕様です。

 

こちらがすくい縫いとじゃばら縫いの2つの縫い目を比較した写真です。

(表)

上の方が「じゃばら縫いループ」、下の方が「すくい縫いループ」です。

ちょっとわかりづらいのですが、
じゃばら縫いループは表側の両端にステッチが入っています。
(実際、写真を撮ったら、だいぶわかりづらかったです。すみません。)

すくい縫いループは表側にステッチが入っていません。

裏側からだと違いがよくわかると思います。

(裏)

 

上の方が「じゃばら縫いループ」で、下の方が「すくい縫いループ」ですが、
上の「じゃばら縫いループ」の裏側って、うねうねと変な模様の縫い目だと思いません?

実はこれ、蛇のお腹に似ているところから、蛇腹(じゃばら)という名称になったのです。

ちなみに「じゃばら縫いループ」は強度重視、表側からステッチが見える仕様で、
ジーンズなどにも採用されています。
(もちろん、ジーンズは太い番手の糸を使用しています。)

「すくい縫いループ」は表側からステッチは見えませんが、ループ(ベルト通し)自体に
厚みが出てきます。

究極的には好みなのでしょうが、「すくい縫いループ」の方が、厚みが出る分、
ちょっと高級感が感じられるような気がします。

よって、当社のトラウザーズ(スラックス)には「すくい縫いループ」を採用しようと思っています。

次回は「帯(おび)作り」について説明していきたいと思います。

ここに来てくれた方にいいことがありますように。