今回はパンツ編の【其ノ参】です。

前回、英国では『表着のパンツ』は『トラウザーズ(Trousers)』 です!、と
ご紹介しました。

では、これを『トラウザー(Trouser)』と単数形にすると、何に
なるのでしょう?

答えは『半ズボン』です!

右足用、左足用と筒が2つあるから複数形の『トラウザーズ(Trousers)』、
左右の足に分かれる前にカットされ、筒が1つしか無いから、『半ズボン(Trouser)』というわけです。
英語は論理的です。

では『トラウザーズ(Trousers)』の語源はどこからきたのでしょう?
『トラウザーズ』という語が使われ始めたのは16世紀前半、ヘンリー8世の時代だったようです。

けっこう厳ついです。
(履いている『ズボン』は『トラウザーズ(Trousers)』とは関係ありません。)

当時、スコットランドの高地やアイルランドなど寒い地域に住む人々が着用して
いた股引形の『ズボン』を『トゥルーズ(Trouse)』と呼んでいたそうですが、
そこからイングランドへ渡り、『トラウザーズ(Trousers)』に変化していったようです。

フランスの『パンタロン(Pantalon)』の語源にも面白い説があります。

『コメディア・デラルテ』という劇の中でピエロ役のパンタレオーネ
(Pantaleone) という登場人物が、長いズボンを履いていたことから由来して
いるそうです。

さらにそのパンタレオーネ(Pantaleone)という名前は、喜歌劇の原型とされる
ペルゴレージの『奥様女中』に出てくるイタリアベニス出身の男の名前に由来するらしく、
4世紀ごろのベニスに実在した聖パンタレオーネ(「すべての獅子」という
意味)から名付けられたと言われています。

こちらは1680年から1704年の間にベニスの聖パンタレオーネ教会の天井に
ジャン・アントニオ・フミアーニによって描かれた聖パンタレオーネの天井画です。

真ん中の人が聖パンタレオーネ、殉教のシーンとのこと。

余談ですが、全体画はこちらなのですが、世界最大のキャンバス画だそうです。(443平方メートル)
実に24年の歳月を費やし完成させたとか。

ちなみに『パンタレオーネ(Pantaleone)』が『ズボン』として使われ始めたのは
王政復古の頃の1660年頃からだそうです。

当時、女性には大変人気があったそうですが、男性からは「色気がない」と
不評を買い、女性のパンタレオーネ姿は宗教革命と共に一旦は消えてしまいました。

しかしながら、その機能性と履きやすさから、フランス革命(1789)後にまたもや
復活し、一般に普及していきました。

現在、世界中はもちろん日本でもパンツ姿の女性がかっこよく闊歩しています。

パンツ編、もうちょっと続きます。

ここに来てくれた方にいいことがありますように。

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