前回選んだ生地候補を使用して、試作を作成しました。
試作においては、以下のポイントを検証しました。
1.縫製のしやすさ
2.仕上がり
3.通常のCALSA仕様である裏側も表地(デニム生地)で仕上げた場合と裏側はスレーキ(袋地)で仕上げた場合
4.通常のCALSA仕様の脇ポケット(脇ポケットもみ玉仕様)とジーンズ寄りにアレンジしたL字ポケット仕様
5.ジーンズ寄りにL字ポケットと前立てステッチを白糸でコントラストを付けたものと同色系に揃えたもの
6.通常のCALSA仕様である被せシック仕様と棒シック仕様
7.生機(きばた=リジット)の場合とワンウォッシュの場合
1.縫製のしやすさ
まず、試作縫製をして感じたのが、「堅い!」
ライトオンスのデニム生地は弊社で受託しているトラウザーズ(スラックス)でも縫製することはあったのですが、とにかく生地が堅くて、通常のラインでは流せない工程がどんどん出てきました。
トラウザーズ用の自動縫製機器は使えず、何度も生産ラインから外して、手動のミシンや厚物専用のミシンで縫い上げ、
また、ラインに戻していくということの繰り返し、
生地が堅すぎて、生地の振り回しにも時間が掛り、針が生地の厚みに負けて折れてしまうのでミシンのスピードも落とさなければならず、通常の製品の製造の流れを止めてしまい、現場も大混乱。
1日にラインに流せる本数もサンプル扱いの1,2本が限界ということがわかりました。
いままで、ヘビーオンスの本格デニムトラウザーズが市場に出回らないのも納得。
弊社としてもこのような製品の引き合いを受けてもなかなかまとまったロット単位ではお受けできないことを改めて痛感しました。
ジーンズの縫製工場はジーンズ用の縫製機器を使用しているので、ジーンズは縫えます。
しかしながら、ライン構成も異なり、トラウザーズの縫製に必要な機械は持ち合わせないことが多く、やはり、トラウザーズは縫えないのです。
「工場としてもまとまったロット単位で受けられない」=「店頭に並べられるほどの数量が確保できず市場に出回らない」
でも、だからこそ、希少性のあるオリジナルなものが出来上がるのではないかとをワクワクしてきました。
(工場の現場のスタッフからはこんな生地を流すのはやめてほしいとかなり怒られましたが。)
2.仕上がり
実際に縫製されたものがこちらです。こちらは生機(きばた=リジット)のもの。
色味にはそれぞれ特色があり、好みが別れるかと思います。
どれもそれぞれいい感じなのですが、まずは定番のものかなと考えています。
3.通常のCALSA仕様である裏側も表地(デニム生地)で仕上げた場合と裏側はスレーキ(袋地)で仕上げた場合
こちらは裏側にもデニム生地を使用したバージョン。
こちらは裏側にスレーキ(袋地)を使用したバージョン
正直に言うと最初のはき心地はスレーキ(袋地)の方がよかったです。
通常の穿き心地と言いますか、違和感のない穿き心地でした。
裏側にもデニム生地のバージョンは表側にもヘビーオンス、さらに裏側にもヘビーオンスのデニムなので、穿いた感じはごつごつしていて、あまりはき心地がいいとは感じませんでした。
また、生地が厚いため、動きにくいという印象です。
さらには、シャツへの色移りの問題、ポケットもデニムを使用しているので、これもかなりリスクが高いと感じました。
でも、表側も裏側もオールデニムで縫い上げたトラウザーズには何とも言えない良さがあるんですよね。
ちょっと長くなってきたので、次回へと続きます。
ここに来てくれた方にいいことがありますように。
「CALSA長崎トラウザーズ」本サイト → https://calsa.jp