しばらく、トラウザーズ(スラックス)の話から遠のいていたのですが、
今回から、トラウザーズ(スラックス)の話に戻ります。
(と言いながら、最初の絵は?)
前回、試作裁断でカットの方法などをお話させていただいたのですが、
よくよく考えると、どんなパーツを裁断していいたのかの説明を
全然していなかったなぁ~と思い返してしまいました。
そこで、今回は、トラウザーズ(スラックス)で使用される各種パーツの
名称について、ご説明していきたいと思います。
まずは代表的なものから、前身頃(まえみごろ)と後身頃(うしろみごろ)から
説明していきたいと思います。
単純に言うと、前身頃はトラウザーズ(スラックス)の前半分、後身頃は後ろ半分となります。
基本的には右側と左側の2つのパーツがあるので、前身頃2枚、後身頃2枚の
合計4パーツが必要となります。
ここで、ちょっとアパレルの業界での専門用語の説明になるのですが、
紳士服(男性もの)の場合は左側、つまり、左足側のパーツを「上前(うわまえ)」、
右側、つまり、右足側のパーツを「下前(したまえ)」と呼びます。
これは、紳士のトラウザーズ(スラックス)を含め、一般的なパンツは前開きのファスナーのところが左側が覆いかぶさった状態になっているところから来ています。
わたくしもこの業界でお仕事をさせていただくようになった当初はチンプンカンプン(古い?)、
「下前の前身を取って!」とか、「上前の後身のクセ処理しといて!」とか言われても何を言っているのかピンと来ないで、しょっちゅうフリーズ。
でも、慣れってスゴイですね。
メンズのジャケットも前合わせは左側が上に来るようになっていると思いますが、
ジャケットも、左側の身頃は「上前」、右側の身頃は「下前」と呼びます。
逆に婦人物(レディース)の服については、紳士物と逆になっているので、
レディースの服を作っている工場では、左側の身頃を「下前」、
右側の身頃を 「上前」と言います。
(レディースは右側が前になってますよね。)
(時間がなくてメンズとレディースで写真がそろえることができませんでした。
どーも、すみません。)
では、なぜ、紳士物(メンズ)と婦人物(レディース)で前合わせが逆に
なったのかということなのですが、
一番の理由は「ヨーロッパの人も右利きの人が多かったから」です。
洋服の起源であるヨーロッパ、13~14世紀になってようやくボタンの付いた洋服が普及するようになりました。しかし、それが着用できたのは宮廷などで過ごす上流階級など一部の人達だけでした。
上流社会や貴族社会の中でも男性は当時から自分で服を着たり、脱いだりしていたのですが、
女性は召使いの人に着せてもらったり、脱がせてもらったりしていました。
たしかに、ギュウギュウに締め付けられたコルセットや裾の長いスカートなどはなかなか一人では着たり、脱いだりできないですよね。
(あくまでイメージです。トーマス・ゲインズバラ作)
よって、召使いの人がボタンを留めたり、外したりしやすいように女性の服は前合わせが逆になったという説が有力なのです。
やっぱり、利き手の方がボタンを止めたり、外したりしやすいですよね。
あれ?パーツの話をしていたんだけど、また、脱線してしまったっ!
長くなってしまったので、また、次回。
ここに来てくれた方にいいことがありますように。