「クロキ」さんを訪問しました。

デニム好きの方なら説明不要かもしれませんが、日本のデニム発祥の地(諸説あり)、岡山県井原市にある日本有数のデニムメーカーです。
紡績を除くすべての工程を自社でおこない、高い生産性と安定した品質で世界的に有名なブランドへも供給している日本を代表するデニムメーカーです。

今回の訪問では、糸の整経(せいけい)から検反(原反の検査)までのすべての工程を見学させていただきました。
全ての工程を載せることはできませんが、少しだけ紹介します。

こちらは整経(ロープ)工程です。
糸をロープ上に束ねていく工程で、染色、のり付けをしやすくします。
 

 
こちらは染色工程です。
何回も色を重ねていき、深みのある藍色に仕上げていきます。
 

 
こちらは染色、のり付けをおこなった後、織機にセットするまでの保管場所です。
よく雑誌の撮影にも使われるとか。
 

 
織り工程です。
何十台ものシャトル織機が響かせる音で会話もできないほどでした。
これだけの織機が並んでいる光景は壮観。
 

 
検反工程です。
こういった工程が品質を支えています。
 

 
暑い染色工程で作業される方、何十台もの織機の音が充満する織り工程で作業されている方、キズ、汚れをチェックする検反工程で集中して視ている方、それぞれの工程の皆さんがデニムを好きで、いいデニムを作ろうと情熱を持ってお仕事をされている姿に感動しました。

また、今回の訪問でいろいろとお話を伺うことができました。

一番印象的だったのはクロキさんの一番の強みについてお伺いしたところ、小田川のきれいな水(良質な軟水)が生み出すデニムの青さだと答えられたところでした。

「小田川の良質な軟水から生まれる藍色デニムブルー」

なるほどと感心しました。

もちろん、輸出6割以上、世界的に有名なブランドからも選ばれる理由は数多くあります。

工場見学でも伝わってきた高い生産性と安定した品質、品質管理のレベルの高さ、
そして、一貫生産だからこそできる、顧客の要望に合わせた糸の段階からの総合開発力、また、クイックな修正、納品にも対応できる高いレスポンス力です。

あらためて、「クロキ」さんの生地を選んで、よかったと思いました。

お話している中で、「輸出が増えていって受注を確保できていることはありがたいことだが、日本向けの出荷も増えてほしい。
日本製の商品がもっともっと増えていくようにがんばってください。」とのお言葉をいただき、気持ちを新たにしました。

セルヴィッチデニムについてもお話を伺いました。

なんとなく、響きがいいと思って、使ってみようと思ったセルヴィッチデニムですが、その最大の特徴は

「アタリがはつきやすいこと。」

だそうです。

現在、デニムは革新織機と旧式織機の2種類で織られています。

革新織機はレピア織機、スーザー織機と呼ばれるもので通常のデニムは、反巾(幅)も約150cm、スピードも1日(約8時間)で3.5反(約125m)の速さで織られています。
 

 
それに対して、セルヴィッチデニムは旧式のシャトル織機で織られているのですが、反巾も約80cm、スピードも1日(約8時間)で0.7反(35m)しか織ることができません。
 

 
「面積比ではなんと6.6倍の差が出てきます。」

セルヴィッチが織られるシャトル織機はスピードが速く出せない織機ですが、逆にそのことが、経糸(たていと)(デニムの色のついた方の糸)にゆるみを与え、生地にゆとりや膨らみをもたらします。

それによって表面が凸凹に仕上がるそうで、その表面の凸凹感が強いほど、着用時に生地が擦れるところと擦れないところの差が大きく出て、よりアタリが付きやすくなるそうです。

また、旧式のシャトル織機の場合は通常よりも経糸のゆるみよりもさらにゆるく調整することもでき、織りの段階でのちのちのアタリの付き具合を変化させることもできるそうです。

これは織機の性能とは違いますが、経糸自体を凸凹に紡いだ糸を用いることで、デニム表面の凸凹をさらに大きくし、よりアタリを出す方法もあるそうです。

デニムの制作現場やいろいろなお話を聞かせてもらって、非常に勉強になりましたし、早くこのデニムでトラウザーズを作りたいと思いました。

ここに来てくれた方にいいことがありますように。

「CALSA長崎トラウザーズ」本サイト → https://calsa.jp