(今日の主役は環縫い(かんぬい)ミシン JUKI社製MH-481です。)
今回は試作縫製の第11回目として、いよいよ組み立て工程について、
お話ししていきます。
前回まで、前身頃(まえみごろ)工程、後身頃(うしろみごろ)工程それぞれを
説明していきましたが、今回からはその前身頃、後身頃が合体していきます。
ちょっと変形ロボットみたいな感じでお話ししてしまいましたが、
こちらをご覧ください。
上のパーツが前身頃(まえみごろ)の右側(下前(したまえ))のパーツで、
下のパーツが後身頃(うしろみごろ)の右側(下前(したまえ))のパーツです。
こちらの前身頃(まえみごろ)のAの部分と後身頃(うしろみごろ)のA’の部分、
さらにBの部分とB’の部分を縫い合わせると1本の筒ができていきます。
(こちらは右足側になります。)
こちらが縫い合わせている様子です。
ちょっとわかりづらいのですが、右下にミシンの名称が書かれています。
ミシンの名称はJUKI社製の「MH-481」と言います。
実はこのミシン、普通のミシン(本縫いミシン)とはちょっと違います。
こちらは環縫い(かんぬい)ミシンなのです。
もちろんほとんどの方は聞き慣れないミシンの名前だとは思うのですが、
こちらは読んで字のごとく、環(わっか)状に縫っていくミシンなのです。
こちらはイメージ図になります。
上が環縫い(かんぬい)ミシンの縫い目、下が本縫いミシンの縫い目になります。
脇側の縫い線(脇縫い)、内股側の縫い線(内股縫い)は
トラウザーズ(スラックス)の中でも一番目と二番目に長い距離を縫うところです。
ミシンの縫いずれによる縫い縮みのシワが起こりやすく、
また、目立ちやすい部分になります。
しかしながら、こちらの環縫い(かんぬい)ミシンは
環(わっか)状の縫い目がちょうどゴムのような役割をして
伸び縮みしてくれます。
通常の本縫いミシンは縫い合わせの強度は強いのですが、縦方向への
伸びのゆとりが少ない特性があります。
よって、環縫い(かんぬい)の方が、本縫いよりも格段に
縫い縮みのシワが発生しにくくなるのです。
こういうところにもちょっとした工夫が隠されています。
縫い目の説明が長くなりましたが、左右両方の前身頃(まえみごろ)、
後身頃(うしろみごろ)を縫い合わせると、このような2本の筒が出来上がります。
どうでしょう?
だんだんトラウザーズ(スラックス)らしくなってきませんでしたか?
次回からはこの2本の筒状になった左右の身頃(みごろ)をつなげていきます。
ここに来てくれた方にいいことがありますように。