あなたは『パンツ』という言葉を聞くと何を思い浮かべますか?

そう、それによってあなたの世代がなんとなくわかってしまうかも。

現在、『パンツ』という言葉は、日本では大きく2つの意味を持っています。
『表着のパンツ』と『下着のパンツ』です。

それぞれにいろいろな言い方もあるし、調べてみると、これまた結構奥が深いのです。

そこで今回から数回に分けて『パンツ』のいろいろを取り上げ、ご紹介して
いきたいと思います。

まずは『表着のパンツ』から。

では、『表着のパンツ』を表す言葉って一体どれくらいあるのでしょう?

パッと思い浮かべるのは『パンツ』、『ズボン』、『スラックス』、
それとCALSA長崎トラウザーズにも用いられている『トラウザーズ』など、
その他、『パンタロン』、『ベルボトム』、『ジーンズ』、『ジーパン』、『バミューダショーツ』
『ニッカボッカ(ニッカポッカ)』、『キュロット』、『ジョッパーズ』、
『サルエルパンツ』、『サブリナパンツ』、『ペダルプッシャーズ』、
『ブルマー』、『ボクサーパンツ』、『ホットパンツ』、
まだまだいっぱいあるのでしょうが、ちょっと思い浮かんだだけでも、
こんなにたくさんのパンツがあります。

その中で日本で最もポピュラーな言い方の1つが『ズボン』ではないでしょうか?

でもこの『ズボン』という言葉、本当は『ずぼん』の方がいいのかもしれません。
実は海外では通じない和製英語なのです。

それもコケそうなくらいのあっけない語源なのですが、

『ずぼ(ん)っと 履けるからズボン』

幕臣の大久保誠知が『スボンと足が入るからズボン』と名付けたという文献も
ありますし、国文学者落合直文〔1861(文久1)~1903(明治36)〕の書いた
『ことばの泉』という本によれば、『ズボン』は『ずぼんと足のはいるより
言い始めてたる語』ともあります。
この落合氏、『ズボン』が日本に入ってきた幕末から明治の時代に生きていた
人ということから、この説がかなり有力な説と考えられています。

もちろんその他にも面白い説もあります。
フランス語の『デュポン(Jupon)』から転じたというものです。

田中千代の書いた服飾事典によると『ズボンとは両足を別々に包む形の
下体衣で、太さ、長さ、形状はときどきの流行や、礼装用、常服用、
スポーツ用、こども用などの用途によって異なる。ズボンの語はスカート、
ペティコートを意味するフランス語のデュポンがなまったものといわれ...』
と、紹介されています。
なぜ、『ぺティコート(=Jupon)』が『ズボン』になったかの説明はなかった
のですが、どうやら、日本の元勲とフランス女性との浮気が原因との説が有力だそうです。

明治時代、日本の元勲がフランス女性と浮気をした時、ベッドサイドに脱ぎ捨てた
自分の『ズボン』を指して、「フランスではあれを何という」と質問したそうです。
その時、フランス女性は自分のペティコートのことを指していると勘違いして、
『デュポン(Jupon)と申します』と答えました。
間違って覚えた元勲が日本で、「フランスでは『ズボン』と申す」と広めたとか。

こちらがそのペティコートです。

どれが本当かは皆様のご想像におまかせします。

ちなみに明治時代は『表着のパンツ』のことを『段袋(だんぶくろ)』、と読んだり、
『洋袴』と書いて『づぼん』などと言っていたそうです。

次回もパンツ編、続きます。

ここに来てくれた方にいいことがありますように。

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