(「福済寺裏山からの長崎港」 上野彦馬撮影 「上野彦馬歴史写真集成」より)
今回はちょっと一休み企画ということで、「長崎古写真」についてお話しします。
長崎は「ボウリング」、「バトミントン」、「けん玉」から「ビール」、「コーヒー」、「チョコレート」など
西洋からいろいろなコト、モノが最初に日本に入ってきたところです。
(もちろん、「カルサン(南蛮人がはいていたズボン)」もその一つですが)
その中のひとつに「カメラ」があります。
幕末に長崎にはじめて入ってきた「カメラ」によって、当然のことながら、当時の「長崎」が数多く撮影されました。
それらは「古写真」と呼ばれ、当時の長崎の風景はもちろん、長崎を訪れた著名人や外国人、
さらには普通の庶民やその生活ぶりなども撮影されており、当時の様子がうかがい知れます。
(「福済寺裏山からの長崎港」 上野彦馬撮影 「上野彦馬歴史写真集成」より)
(「長崎中島川河畔」 上野彦馬撮影 「上野彦馬歴史写真集成」より)
(「笑う女たち」 上野彦馬撮影 「上野彦馬歴史写真集成」より)
その当時、長崎の写真家(写真師)として最も有名な方の一人が「上野彦馬(うえのひこま)」です。
(上野彦馬肖像 「上野彦馬歴史写真集成」より)
1858年生まれ、日本で初めての職業写真館「上野撮影局」を開業し、「坂本龍馬」や「高杉晋作」、「桂小五郎」、「伊藤博文」、
「トーマス・グラバー」などの写真を撮影しました。
これから「上野彦馬」が撮った肖像写真を紹介していきますが、
こちらの「坂本龍馬」の写真はもっとも有名な写真の一枚ではないでしょうか。
(「坂本龍馬」 上野彦馬撮影 「写真の開祖上野彦馬 写真に見る明治と幕末」より)
つづいて、「高杉晋作」です。
ちょんまげではないですが、和服と刀が定番だったんですね。
(「高杉晋作」 上野彦馬撮影 「写真の開祖上野彦馬 写真に見る明治と幕末」より)
次に「桂小五郎」です。
かなりの男前、いい男だったんですね。
(「桂小五郎」 上野彦馬撮影 「写真の開祖上野彦馬 写真に見る明治と幕末」より)
次に「伊藤博文」です。
まだ24歳の頃の写真で、当時は「伊藤俊輔」と名乗っていました。
のちの初代内閣総理大臣です。ちなみに、5代、7代、10代の内閣総理大臣でもあります。
一昔前は「千円札の人」でした。
(「伊藤博文」 上野彦馬撮影 「写真の開祖上野彦馬 写真に見る明治と幕末」より)
こちらは「グラバー園」で有名な「トーマス・グラバー」の写真です。
余談ですが、キリンビールの麒麟のひげはこちらの「トーマス・グラバー」のひげが元となっています。
(「トーマス・グラバー」 上野彦馬撮影 「写真の開祖上野彦馬 写真に見る明治と幕末」より)
また、「上野彦馬」はいろいろな日本初の写真家で、面白いところでは、金星の太陽面通過の観測写真を撮影した日本初の天体カメラマンであったり、西南戦争の戦場に赴き、記録写真を撮った日本初の戦場カメラマンだったりもします。
歴史的、文化的にも大変価値のある写真で、「上野彦馬歴史写真集成」、「写真の開祖上野彦馬 写真に見る明治と幕末」などの書籍でも見ることができるのですが、貴重な歴史的資料、財産でもある「古写真」を後世に残していこうという取り組みを長崎県や長崎市、長崎大学などもおこなっております。
特に長崎大学は「長崎大学付属図書館」にて約7700点の「古写真」を収集、所蔵しており、その中に長崎にまつわる写真が数多く集められ、デジタルアーカイブとしてデータベース化され、ネットで気軽に見ることができます。
ぜひ、「長崎古写真」もしくは「長崎大学 古写真」で検索して、当時の写真をご覧になってみてください。
もちろん、「長崎大学付属図書館」では一般の方も登録をすれば利用できるので、実際に行って資料をご覧いただくこともできます。
また、長崎県も「古写真資料館 埋蔵資料館」(長崎県長崎市東山手町6-25 095-820-3386)を開設しており、
貴重な写真を見ることができます。
こちらは観光名所である「孔子廟」や「オランダ坂」の近くですし、入場料も100円なので、気軽に足を延ばしてみてはいかがでしょうか?
今回は意外と知られていない「長崎古写真」についてお話ししました。
知れば知るほど奥深いです。
ここに来てくれた方にいいことがありますように。
「CALSA長崎トラウザーズ」本サイト → https://calsa.jp