(前ポケット試作中~)
トラウザーズ(スラックス)の試作縫製4回目として
今回はパーツ工程の中の前ポケットについて説明していきます。
トラウザーズ(スラックス)の前ポケットは脇ポケットとも言われます。
この部分になります。
それではまずは、ポケット地(袋地)の説明からしていきます。
みなさん、袋地にも表裏(おもてうら)があるのをご存じですか?
早速、問題です。
こちらは表裏(おもてうら)のどちらでしょう?
ちょっと見づらいですが、正解は「表(おもて)」です。
写真で拡大しているので実物よりは少しはわかりやすいとは思うのですが、
織り目の綾(あや)が右下がりになっているのが、わかりますか?
つまり、「袋地」の場合、
表面(おもてめん)は右下がり、裏面(うらめん)は左下がりになります。
ちなみに「表地」は
表面(おもてめん)は左下がり、裏面(うらめん)は右下がりで逆なんです!
ちょっと紛らわしい。
こちらを間違えると大問題になってしまうので、かなり神経を使っています。
それでは前ポケットの作り方ですが、まずはこちらをご覧ください。
ポケット地の写真になります。裏面(うらめん)からの写真です。
よく見るといくつかの切り込み(ノッチとも言います。)があります。
それぞれ、AからFまでアルファベットを振っています。
ただし、Fだけは切り込みではなく、生地の角(かど)になります。
AからBを結ぶラインと脇当て(わきあて)の端を合わせて、
ポケット地に脇当て(わきあて)を縫い付けます。
次にポケット地を表面(おもてめん)を内側に2つ折りして、
BとFを合わせ、下側のカーブを縫い合わせます。
(わかりやすく黒の糸で縫っていますが、実際は同色系の糸で縫います。)
DとEを合わせたポイントから7mm巾の縫い代巾で縫いはじめ、
カーブの終わりまで、最後は5mm巾になるように縫い合わせます。
そちらをひっくり返します。
すると下端の縫い合わせが内側になり、縫い目が見えなくなります。
そして、ポケット地の表面(おもてめん)が表側にくるポケットが完成します。
こちらをアイロンにてきちんと折り目をつけて、前ポケットの完成です。
(アイロン後の写真ですが、ほとんど差がわかりませんね。)
拡大してみると、折り返したところの縫い目のアイロン跡が
少しずれているのがわかりますでしょうか?
こちらは裏側から見た写真なのですが、
こちらの控え(ひかえ)を取ることにより、
表側から見た時は縫い目が見えないようになります。
こんな感じです。
ちょっとしたことですが、これで表側からの見た時に
すっきりとした印象になります。
こちらのポケットを左右対称で2つ作ります。
ちなみに当社の試作品ではポケット地にも袋地ではなく、表地を使用予定なので、
こんな感じになります。
こちらは当社のトラウザーズ(スラックス)の試作しているところです。
ミシンでポケット地のカーブ縫いをしています。
こちらはアイロンをしているところです。
表地のポケットは、手を入れた時の感触がとっても気持ちいいです。
ぜひ皆さんにも体感してほしい。
どのようにこのポケットを前身頃(まえみごろ)に付けていくかは
前身頃の工程の際に説明していきます。
今回はここまでです。それではまた次回。
ここに来てくれた方にいいことがありますように。