(猫のつもり?)
前回、トラウザーズ(スラックス)の表地のパーツの説明をしたのですが、
今回は、裏地のパーツの説明をしていきたいと思います。
ちょっと復習ですが、裏地のパーツには主に2種類のパーツがあります。
一つ目は、綿やポリエステル素材の「袋地のパーツ」。
こちらは袋地(ふくろじ)用の生地、つまり、
ポケットなどに使われる生地です。
もう一つは、キュプラやポリエステル系素材の「裏地のパーツ」。
こちらはキュプラの生地です。
ちなみにキュプラは綿の実の周りに生えている産毛のような繊維(コットンリンター)からできています。つまり植物性なのです。
主に前身頃の裏側に付ける「膝当て(ひざあて)」に使用されます。
また、後身頃に付けるものを「後当て(うしろあて)」と言います。
まずは袋地のパーツから説明していきたいと思います。
主な袋地のパーツは以下の通りです。
◆脇ポケットの袋地
◆後ポケット(ピスポケット)の袋地
◆天狗裏の袋地
◆シックの袋地
◆脇ポケットの袋地
脇ポケットの袋地は前述の脇当てと縫い合わせ、その後、半分折りにして袋状に仕上げます。
裏側から見た出来上がりはこんな感じです。
◆後ポケット(ピスポケット)の袋地
こちらは2つ折りにして、ポケットを作るタイプの袋地です。
2つ折りにするとこんな感じです。
ちょっと、後ポケットぽくなったでしょう。
裏側から見た出来上がりはこんな感じです。
◆天狗裏の袋地
表地の天狗パーツの裏側につくパーツです。
パーツを作った状態だとこんな感じです。
こちらは表側からみた写真です。
裏側から見た出来上がりはこんな感じです。
◆シックの袋地
Sick(病気)?ではなく、Thick(厚い部分)の方でした。
股ズレ防止の効果と、股の部分の縫製のちょっとデコボコした部分を覆い、あたりをソフトにする効果があります。
縫い合わせて、アイロン処理すると。こんな感じになります。
出来上がりはこんな感じです。
股の部分を覆っているのがわかりますでしょうか?
ちなみに当社のトラウザーズ(スラックス)では
こちらを使用予定です。
当社のトラウザーズ(スラックス)ではシックも表地を使用するつもりですが、
縁取り補強と色合いのアクセントのため、パイピング仕様を採用予定です。
次にキュプラやポリエステル系素材の裏地のパーツについて、
説明していきます。
種類は2種類です。
◆膝当て(ひざあて)
◆後当て(うしろあて)
◆膝当て(ひざあて)&後当て(うしろあて)
こちらが膝当て(ひざあて)を前身頃にオーバーロックミシンで縫い付けた状態です。
こちらは後当て(うしろあて)を後身頃に縫い付けた状態です。
表地の裏側からのスレ防止、また、表地が薄い場合の透け防止のために使用されます。
また、最近はいろいろな機能性素材が出てきているので、保温や吸湿性能を
持った素材もあるようです。
非常に有用なパーツなのですが、当社のトラウザーズ(スラックス)では、
ケースバイケースで使用しようと思っています。
なぜなら、せっかくいい表地を使うんだから、
裏側からもその肌触りを体感してほしいから。
当社のトラウザーズ(スラックス)では、袋地などの裏側のパーツも
表地を使用し、その肌触りを楽しんでほしいと考えています。
もちろん、スレなどに対する耐久性についても考えなくてはならないのですが、
「生地も生き物」と言われています。
ちょっとした心遣いでずいぶん長持ちしてくれます。
たとえば、
★毎日の着用を避け、生地を休ませながら、着用していただいたり、
★着用前、着用後にブラッシングなどでケアしてあげたり、
★重いものや嵩張(かさば)るものをポケットに入れないようにして、ポケットへの負担を軽くしてあげたり、
★体にフィットしたトラウザーズ(スラックス)を選び、生地にテンションをかけないようにしたり、。
(窮屈なトラウザーズは股やお尻、脇ポケット口(くち)に無理な力を加えてしまい、裂けの原因になります。)
などなどです。
もちろん、表地の素材によっては太ももがチクチク感じてしまったり、透けが目立つものもありますので、そのあたりがケースバイケースということです。
最後に当社のオリジナルトラウザーズ(スラックス)で使用予定の表地の裏パーツはこんな感じです。
脇ポケットと後ろポケットも表地を使用予定です。あと、ベルトの裏側にくる腰裏(こしうら)というパーツにも表地を使用予定です。
こちらは試作段階で膝当て(ひざあて)を付けてみました。
次回からはいよいよ試作縫製をレポートしていきたいと思います。
ここに来てくれた方にいいことがありますように。